神戸事件(その4)

当然次にとる手段はおまわりさん

♪犬のおまわりさん 困ってしまってワンワンワワンワンワンワワン♪

冗談言ってる場合じゃ無いが正に犬のおまわりさんだったらクンクンしてすぐに見つけてくれたんじゃないかと思う
派出所を見つけたが誰も居なかった
‘現在パトロール中、御用の方は電話ください’
見たいな事が書いてあって即効電話
「もしもし、あのう誘拐されたんですが・・・」
「えっ誘拐!!!!!」
かなり驚いた様子だった
「犬なんですけどね、犬種はゴールデンレトリバー
「なんだ脅かさないでください」
「いや、マジなんですけど」
「分かりました、すぐにそちらに向かわせます」
少ししたら自転車に乗った小太りのおまわりさんがえっちらえっちらやってきた
いかにも迷惑そうな対応
そう、このおまわり(あえて‘さん付しない)の怠慢なおかげで捜索が大幅に遅れてしまったのだ

一通りの説明をする
すでに時代はコンピューター時代であるのにいまだ作文用紙のような物にたらたら書いてる
ただ調書を取るだけ
この調子じゃ無理だなと思いながらも説明は一応続けた
派出所を出てもう一度探す
ダチにも悪いと思っているが
「探そう、探そう!」
と言ってくれてる
しかし何の当てもなく、もう体力と精神の限界
車に乗り込んで少し休む
こんなことならホテル、チェックアウトしなければ良かった
とはいえこんな事態を誰が想像したであろう

車で休んでると夜が明けてきた
オレはどうすればいいんだろう
ダチにも来てもらってるし一人残るわけにもいかないし、
かといってもう探す宛ても無いし
・・・・ということで田舎に向かうことにした
途中何度も後悔したがなにに後悔していいかも分からない半錯乱状態?

まさか殺されるようなことは無いと思うが・・・
良い人に飼ってもらえるならいいが(勝手に連れてって良い人って事は無いが)
慣れない飼い主でいじめられる事はないかな?
庭付きの家なら五エ門にとってそっちのほうが幸せかもな
帰りの車の中でいろんなことが浮かんでくる

「うそだろう!」
「何でだよ!」
「ああー!」
「くそー!」
いろいろ口に出てくる
さぞかし隣で運転しているダチには迷惑だった、いや迷惑なんて遥かに通り越している
当然だ!
突然電話がかかってきて「迎えに来てくれ!」
駅とか市内の飲み屋街ではない
神戸まで・・・それも山口から
それも少し驚いただけで快く引き受けてくれた
オレの事情も充分察してくれたのだと思う

つづく